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2006年3月 4日 (土)

映画とテレビと舞台と

今日は上京区の企画による「学生が案内する上京歴史探索ツアー」の本番
奈良は濃い霧に包まれて、一部ではJR線の運行休止の知らせも入っていたが、京都に着くと天気予報通りの久しぶりの晴天。ただしちょっと寒い
春休みの合間を縫って11名の学生くんたちが9時過ぎの寒梅館に集まりました
京大院の市澤くん、同大院の中川くん、文の松本さんと谷口くん、文化情報の並木さん、青山さん、田中さん、渡邉くん、欅くん、東峰くん、上田くん
本日のコースは午前と午後の2つで、参加者は午前が27名、午後が20名ほど。午前のコースには小学生も参加です
午前のコースは相国寺から上御霊神社へあがって、その後後藤家の跡、宝慈院、持明院殿跡、百々橋、山名宗全跡、本阿弥光悦、近衛殿。
テーマは時代をつくった上京の歴史遺産
鎌倉時代の院御所と尼門跡寺院、室町時代の相国寺と戦国大名の館、江戸時代の豪商の館
午後のコースは学生会館の鏡工房から佐野紹益、一条風呂、楽家、茶屋四郎次郎邸、山崎闇斎、伊藤仁斎、二条邸、蛤御門、近世近衛邸そして薩摩藩邸
テーマは芸術と文化と学びの中心地となった江戸時代の上京

最初の相国寺から上御霊神社までは鋤柄が説明を
室町時代の二重構造を相国寺から考える視点の話をした後で、上御霊神社へ向かって歩きながら、この応仁の乱の頃はあたりがずっと森になっていて、現在そのなごりが地名になっている話しをする。上御霊神社では、それ以前にあった上出雲寺に現在の相国寺の法堂に匹敵するお堂が建っていた話しをする
それからどうして畠山がここの陣をはったかを足利政権と上御霊神社の関係から説明する
こういった歩いてまわるイベントに重要なことは、まず第一に臨場感。目の前に当時の様子が浮かんでくるようなさまざまな仕掛けが必要。けれどえもそれだけではなく、そこから当時の社会の仕組みを理解できるような説明がとても重要
ただ単に名所をめぐっているだけではなく、それらのポイントが意味のある形でつながっていて、それが歴史を理解する上で重要だということが、実際の現地にたって実感できるような説明がめざす姿です
そこが一般の観光案内との大きな違いだと思います

さて、そこから先は学生君たちの出番
まずは院生と3回生がお手本を見せてくれます
主に江戸時代は中川くん、鎌倉時代は松本さん、室町時代は市澤くんが各自の研究の成果を披露してくれました
午後は、この経緯をふまえて、ビデオや携帯ガイドブック担当以外の文情の1回生の4人にひとつずつポイントの説明を割り振り初舞台に臨み、頑張ってくれました
みなさん、大学の中でする発表とはひと味違う、社会への初舞台はいかがだったでしょうか
ツアーに参加された方々はおおむね楽しんでいただけたのではないかと思います
午前と午後とのべ5時間ほど上京を歩きました
お疲れさまでした
http://scoophand.cocolog-nifty.com/tansaku.mp4

これからの大学の役割のひとつには、それぞれの分野で方法は異なりますが、学生くんたちに、社会へつながるたくさんの舞台をふませることがあるのではないかと考えています

正しい比較になるかどうかはわかりませんが、歴史の研究にも映画的なものやテレビ的なものや舞台的なものがあって、佐倉の歴博の48集と71集と狭山池の報告書に載せた南河内3部作や歴博の92集などは、いわば映画的なものやテレビ的なものだったかもしれません。
研究の諸段階によって多少の異なりはありますが、この業界の専門家と言われるようになるには、こういった作品があたりまえにできないといけないのは当然ですが、それだけではなく、観客の反応をリアルタイムに知って、それに的確に対応しなければならない舞台をこなすということも重要で、それがとても勉強になる場になっています。
(なによりもリピータを前にして同じネタは使えません)
ただしここで言う舞台というのは授業や同業者の集まりの研究会のことではありません。そういった場ももちろん大変勉強にはなりますが、そうではない一般の社会との関係の舞台は、それ以上にいろいろな面で勉強をさせてくれます。
とくに現在の歴史研究や考古学研究は、社会の中で(社会との連携の中で)どのような役割を果たすべきか、果たすことができるのか、大いなる模索が始まっています。
そんな時、学問に対するしっかりした芯を持ちながら、しかし社会に対する鋭敏な感覚をもって、これからの開かれた大学の一端を担う意味で、学生君たちとの舞台を大切にしていきたいと思っています。
(もっとも、単に舞台が好きなだけとのうわさもありますが)

それにしてもしばらく映画を撮っていないなあ
久しぶりに映画も撮りたくなっています

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