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2006年3月21日 (火)

龍の棲む日本

 3月5日に武藤先生と巣山古墳を経て額安寺へ行ってその後、郡山までの道すがらいろいろなことを教えていただくことができましたが、その中で最も驚いた話しが中世日本の地図についてでした。

「謎解き洛中洛外図」で知られる黒田日出男さんは、「絵画史料で歴史を読む」や「姿としぐさの中世史」や「謎解き伴大納言絵巻」や「地図と絵図の政治文化史」や「中世荘園絵図の解釈学」といったように、マルチメディアな歴史資料の研究をおこなっているが、その中に「龍の棲む日本」という作品があります(岩波新書)。
カバーの紹介によれば、「中世日本には龍が棲んでいた、人々は、地震・噴火は地底のわだかまる龍の鳴動であり(中略)龍とはなにか。日本の国土とは何か。(中略)古地図に書き込まれた謎の姿を出発点に・・・」というもの。
黒田先生得意の「心性」をテーマにした歴史書で、本書の場合は、鱗のある長大な胴体が取巻いている鎌倉時代につくられた日本図を題材にして、中世日本列島における地震という自然現象を人々がどのようにとらえていたかを考えた書です。
言い方を変えれば、「龍」というイメージを手がかりに中世を説明した社会史を代表する典型的な書と言えるでしょう。
ですが
鋤柄的にここで注目したいのは、それが「地図」というコンテンツです
前近代における日本の地図と言えば誰でも伊能忠敬の作品が思い浮かぶでしょう
ところが伊能忠敬が地図をつくったはるか前にも日本を描いた地図があったのです
嘉元3年(1305)の仁和寺蔵「日本図」
14世紀半ばの『拾芥抄』所収の「大日本国図」
そして金沢文庫本「日本図」
大きさは縦34.2㎝、横51.8㎝
東半分は失われれているが、その解題によれば、欠けている部分は遠江・越後以東で、大陸周辺諸国を周りに配置し、その内側に日本列島を描いているが、その日本列島のまわりを身をくねらせた太い蛇がまいているそうです
列島の島々や国々は丸みをおびて描かれ、九州は大隅・日向・筑後・薩摩・豊後で、右端に西国という標記がある
蛇の外側には対馬、隠岐、琉球、中国、高麗が描かれ、弘安の役の激戦地だった志賀島や竹島が意識的に描かれているので、その後の時期だと考えられています
国内の標記は、国の上・大・中・小や田の町数が書かれているそうです
14世紀初めの日本という世界の人々を心性的に知る上で貴重な史料だと思います

そしてもうひとつ千葉に地図がありました
鋸南町の妙本寺という日蓮正宗の有名なお寺にある地図で縦24.2㎝、横17.1㎝で、中央にひとつの島があって、そのうえに周辺の諸国が半月形に描かれています

国内のイメージと対外的なイメージ

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