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2006年8月 2日 (水)

博物館情報のデジ夕ル化とその活用

博物館情報のデジ夕ル化が全国の関係諸機関で精力的にすすめられている。東京国立博物館をはじめとする全国各地の博物館の様々な貴重な資料が、自宅で好きな時間に閲覧できるなんて、ほんの少し前までは想像できなかったことである。同様に様々な大学にどれほど多くの貴重な資料が収蔵されているかわかったのも、このデジタル化と高速通信技術の進歩のおかげである。

これらのデジ夕ルアーカイブの利用により、博物館を訪れる前は言うまでもなく、訪れた後も見てきた様々な資料に思いを巡らせ、見落としたことに気づいたり、逆に新たな関心が生じ、再びその博物館を訪れてみたいと思う気持ちも生まれる。これまで以上に博物館とその収蔵品に親しむことができるようになったその効果は著しいものと言える。

しかしこの博物館情報のデジ夕ル化の意義とその可能性は、このようにそれが博物館資料に接する機会を増やしたことだけではない。歴史系の博物館展示の中で必ずみかけるのが復原図やその模型である。専門家でないとわからないような難しい個々の資料が、総合化され、わかりやすく説明されており、プレゼンテーションの方法としてまた研究上も非常に有意義な展示である。

ところがこの復原の展示が、実は専門家にとっては、手間もかかるし、またその内容においても非常に難しい研究でなのある。とくに考古学の場合、遺跡と遺物と遺構が全て別の媒体となって記録されており、またそれらは別の場所に保管されていることも多い。復原研究とはそんな物理的にも質的にも分散されている資料を元位置に戻して考えることなので、非常に有意義ではあるが、実際は、はかりしれない程の労力と想像力が要求される研究なのである。

実は、博物館情報のデジ夕ル化のもうひとつの大きな可能性が、ここにある。デジタル化された様々な資料は、ヴァーチャルな空間の中で自由に再配置され、それらの関係は、その資料に関係する様々な研究にしたがって、はるかに自由にシミュレートすることが可能なのである。これまでの諸研究は、これによって再検討され、そこからまた新しい視点が生まれる。博物館情報のデジ夕ル化は、これまで以上に復原研究の、とくに景観復原を軸とした遺跡の総合研究の可能性を拡大する、きわめて重要な役割をもっているのである。

2001年9月11日

今後、その基盤となるGIS研究の進展が期待される。

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